南海トラフ巨大地震の30年内発生確率「80%程度」に引き上げ 政府地震調査委

1 日 前 9
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 政府の地震調査委員会(委員長・平田直東京大学名誉教授)は15日、マグニチュード(M)8~9程度が想定される南海トラフ巨大地震の30年以内の発生確率をこれまでの「70~80%」から「80%程度」に引き上げたと発表した。平田委員長は「(80%程度とは)いつ起きてもおかしくない数字」と述べ、引き続き「備え」を進めるよう求めた。

 地震調査委員会は日本周辺の海溝や全国の活断層で想定される地震の発生確率を毎年1月1日時点で計算し、必要に応じて更新し、発表している。同委員会によると、想定発生確率は実際に地震が起きない限り、時間の経過とともに上がる。今回の引き上げに際しては今月13日や昨年8月に日向灘で発生した地震は影響していないという。

 南海トラフ巨大地震を巡る発生確率は2013年から出された。この時は「60~70%」、14年は「70%程度」、18年に「70~80%」に引き上げられていた。地震調査委員会が今回再計算した結果「75~82%」との数字が出たため「80%程度」との表現にしたという。

 この巨大地震は駿河湾から日向灘にかけてのプレート境界を震源域として概ね100~150年間隔で発生してきた。1944年の昭和東南海地震、46年の昭和南海地震から約80年が経過している。

(地震調査研究推進本部・地震調査委員会提供)(地震調査研究推進本部・地震調査委員会提供)
地震調査委員会が15日発表した海溝型地震のうち南海トラフ巨大地震の新旧発生確率の表(地震調査研究推進本部・地震調査委員会提供)地震調査委員会が15日発表した海溝型地震のうち南海トラフ巨大地震の新旧発生確率の表(地震調査研究推進本部・地震調査委員会提供)

 今回の発生確率の見直しでは、日本海溝沿いの青森県東方沖および岩手県沖北部のM7.9程度の地震の30年以内確率が「10~30%」から「20~40%」に、また千島海溝沿いのM8.0~8.6程度の十勝沖地震が「10%程度」から「20%程度」に引き上げられた。

 平田委員長や地震の専門家が再三指摘しているように、これらの確率は基本的には、ある予測計算モデルを使って過去の大規模地震の発生間隔や地震規模などから割り出しており、発生確率を予想する1つのめどとしての数字だ。今日、明日発生する可能性も否定していない。

 気象庁は13日午後9時19分ごろに宮崎県で最大震度5弱を観測した日向灘の地震を受けて同日夜、昨年8月以来2回目となる「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を出して関連を調査したが、地震の規模が基準を下回ったため調査を終了。昨年8月に出した「巨大地震注意」は出さなかった。

南海トラフ巨大地震などの海溝型地震の発生メカニズムの概念図(地震調査研究推進本部・地震調査委員会提供)南海トラフ巨大地震などの海溝型地震の発生メカニズムの概念図(地震調査研究推進本部・地震調査委員会提供)
赤い線内が南海トラフ巨大地震の想定震源域(地震調査研究推進本部・地震調査委員会提供)赤い線内が南海トラフ巨大地震の想定震源域(地震調査研究推進本部・地震調査委員会提供)
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