ヤマハ発動機は、“クロスプレーン・コンセプト(※)”に基づく水冷・4ストローク・DOHC・直列2気筒・688ccエンジンを搭載したロードスポーツ「MT-07 ABS」をモデルチェンジし、2月26日に発売することを発表した。
※クロスプレーン・コンセプトは、慣性トルクが少なく、燃焼室のみで生み出される燃焼トルクだけを効率良く引き出す設計思想
「MT-07 ABS」ブルー
今回の「MT-07 ABS」は、“The Advocator of Riding Delight”をコンセプトに開発。トルクフルなエンジンに扱いやすいボディ、そしてコストパフォーマンスの高さなど従来からの特徴に加えて、大型スポーツバイクのエントリーモデルとして、質感、先進性、軽快感の充実を図った。
「MT-07 ABS」マットライトグレー
「MT-07 ABS」マットダークグレー
また、クラッチレバーやシフトペダル操作が不要の自動変速トランスミッション「Y-AMT」を備えた「MT-07 Y-AMT ABS」をバリエーションとして設定している。
新しい「MT-07」の主な特徴
■CP2エンジンとして「YCC-T」を初採用し、全回転域で滑らかなトルク特性を実現
CP2(クロスプレーン・コンセプトの2気筒)エンジンでは、ヤマハ発動機として初となる「YCC-T(Yamaha Chip Controlled Throttle=ヤマハ電子制御スロットル)」を新たに採用。吸入空気の取り込みの最適化と合わせて、全回転域での滑らかなトルク特性を実現。CP2エンジンが備える扱いやすいトルクをよりリニアなものとし、ライダーの意志に沿ったレスポンスや出力特性をもたらしている。
また「YCC-T」化によって、好みや路面状況にあわせてエンジンの出力特性や各種電子デバイスの介入度を選択できる機能「YRC(Yamaha Ride Control)」や、シフトダウン側にも対応するクイックシフターの装備が可能になり(スタンダードモデルにオプション設定)、より幅広い走行シーンへの対応を実現している。
■CP2エンジンのトルクフルなフィーリングを際立たせるサウンドの作り込み
「アコースティック・アンプリファイア・テクノロジー」搭載

CP2エンジンが発する不等間隔爆発特有のサウンドは、高音と低音が混じり合った和音がベースです。スロットル開度とエンジン回転数の上昇がもたらすそのサウンドを、よりトルクフルに感じられるよう吸気系をチューニング。ゴロゴロと唸るような「ランブル感」を引き出すことによって、MTシリーズのキャラクターを際立たせた。
その実現のため、エアクリーナーボックス、吸気ダクト、吸気ファンネル、吸気口カバーなどの形状やレイアウトを検証・調整しながら最適化。吸気口で発生した吸気音がライダーの耳に効率的に届くようレイアウトや燃料タンクカバー4か所の穴の設置など「アコースティック・アンプリファイア・テクノロジー」を採用し、ライダーへ魅力的なサウンドを届ける。
■走行性アップに伴い剛性バランスを最適化した新設計フレーム&リアアームあわせてライディングポジションもアップデート
バックボーン型高張力鋼管フレームの設計を変更し、強度剛性を引き上げた。電子制御スロットルや新たな変速機構(Y-AMT)の搭載とエアクリーナー容量確保の両立、倒立式フロントサスペンションの採用、スタビリティの確保などの要件を満たすもので、ヘッドパイプを除くすべての部位のパイプワークや径、肉厚、板金などを最適化。質量は、現行と同等(約14.8kg)としながら、倒立フォークの採用と合わせ、スタビリティ向上と軽快なハンドリングを実現する剛性バランスの最適化を図っている。
こうしたフレーム変更などに伴い、ライディングポジションも調整している。車体との一体感をさらに高め、スポーティな走行を実現するため、ハンドル位置を手前かつ下方へ変更し、グリップ幅を拡大。
あわせてフットポイントを下げ、ポジションに余裕を持たせた。また燃料タンクとカバーのスリム化を実現し、ニーグリップ時のホールドのしやすさと一体感を向上している。
■倒立式フロントサスペンションの新採用など足回りを強化
フロントにはφ41mmインナーチューブの倒立式サスペンションを新たに採用。リアにはプリロードと伸側減衰力の調整機構を備えたリンク式モノクロスサスペンションを搭載した。サスペンションは前後ともに車体各部のアップデートやディメンションに合わせて剛性を最適化し、旋回時や制動時の良好な接地感を実現。優れた応答性を発揮する。
またフロントブレーキキャリパーには、取り付け剛性に優れるラジアルマウント式を新たに採用。安定した制動力と優れたコントロール性を実現している。さらに、大幅な軽量化(従来モデル比)とそれに伴う慣性モーメントの低減に貢献するスピンフォージドホイールを専用に新設計し、「MT-07」として初採用。俊敏なハンドリングを支える。
■つながる機能搭載の5インチフルカラーTFTメーターなど便利な機能

5インチTFTメーターを採用。速度やデジタルバーによるタコメーターの他、燃料計、平均燃費、水温計、気温計、シフトインジケーターなどの表示機能を搭載。各機能の情報操作、セレクトはハンドルスイッチの操作で行なう。表示パターンは、4種から選択可能となっている。
また、専用アプリ「Y-Connect(Yamaha Motorcycle Connect)」をインストールしたスマートフォンと車両を接続し、手元でYRCのセッティングを行ったり、さまざまな情報や画像をメーターに表示できる。これにより車両の管理、電話やメールの着信通知など、多様なコンテンツが利用できる。さらに「Garmin StreetCross」アプリをスマートフォンにインストールし、車両とペアリングすることによって、メーター画面上でナビゲーション機能も使用できる。
加えて以下のような機能・装備を新たに採用している。
・直感的に操作可能な新設計ハンドルスイッチ。
「MT-07 Y-AMT」は、ハンドルスイッチ左側にシフトアップとダウンを担うシーソー式レバーを装備。また、ハンドルスイッチ右側には、AT/MTモードの切換ボタンを追加している。
・新機能を搭載したフラッシャー(左右方向指示とハザード時の点滅機能に加え「二段階フラッシャー機能」「エマージェンシー機能」「消し忘れ機能」を新追加)
■新スタイリング

“Natural Simplicity for everyone”をデザインコンセプトに、先代が築きあげてきた俊敏さに寄与する軽量スリムなボディ、トルクフルな走りを想起させるスタイリングを継承した。また、様々な体格や幅広いライディングスキルをもつライダーが走る楽しさを享受できるよう、マシンのプロポーションやフォルムは、よりナチュラルかつシンプルに洗練させた。特にタンク周りからシートにかけてニーグリップしやすくし、マシンとの一体感を感じやすいようにしている。
さらに、イメージを一新した小型で薄い小径LEDヘッドライトを採用。その下部に薄型のポジションライトを配置し、二眼に見立てることによって、端正でありながら親近感を感じるフロントマスクとした。またテールライトも薄型の新作としている。
なおカラーリングは、ヤマハのレースイメージを強調する“ブルー”、MTシリーズの新たな象徴カラーとして鮮やかなスカイブルーのホイールを組み合わせ、未来的でクリーンなイメージの“マットライトグレー”、シリアスなスポーツイメージを高める“マットダークグレー”の3色。
■コンパクトなレイアウトの電子制御シフト機構「Y-AMT」搭載(「MT-07 Y-AMT」のみ)

「MT-07 Y-AMT」には、左手によるクラッチ操作と、左足によるシフト操作をアクチュエーターが担うことで、ギアチェンジを自動化したシステム「Y-AMT(Yamaha Automated Transmission)」を搭載。「 YCC-T 」を含め、クラッチアクチュエーターやシフトアクチュエーターなどのレイアウトを工夫することによって、CP2エンジンならではの軽量コンパクトさを維持している。
そして、ショートホイールベースで軽量な車体と新採用のサスペンションにマッチするように専用セッティングし、「MT‐07」本来の楽しさを簡単な操作で感じられる。「Y-AMT」を採用することで、有段トランスミッション特有のスポーティなシフトフィーリングを損なわず、ライディングの楽しさを最大限に引き出した。
なお、「MT-07 Y-AMT」はATモードを搭載。街中やワインディングロードなどオールラウンドな走行に対応できるモードと、スポーティな走行が楽しめるモードを設定するとともに、迅速な加速を実現するためキックダウン機能を搭載。MT-07のエンジンに合わせた専用セッティングが施されている。
【フィーチャーマップ】

【販売計画】
500台(年間・国内)
【メーカー希望小売価格】
MT-07 ABS 968,00円(税込)
MT-07 Y-AMT ABS 1,056,000円(税込)
【主要諸元】
※【 】内は「MT-07 Y-AMT」

関連情報:https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/mt-07/
構成/土屋嘉久