欧州の探査機マーズエクスプレスが捉えた火星の南極の極冠(欧州宇宙機関、ドイツ航空宇宙センター、ドイツ・ベルリン自由大学提供。CC BY-SA 3.0 IGO)
コーヒーにミルクをポタリ…にも見えるこの写真は、火星の南極にあるドライアイスでできた「極冠」を捉えている。欧州の探査機マーズエクスプレスが2015年に撮影した。3年後、この探査機のレーダー観測を基に、科学者はこの下に液体の水の湖があるとの見方を示した。火星に生命がいるかどうかなどをめぐり、再び議論が高まった。
これに対し、米航空宇宙局(NASA)は先月25日、米探査機マーズ・リコネサンス・オービターの観測により、湖とみられたものは岩石やチリの層だろうと発表した。特別な技術で、レーダーの信号を地下深くまで到達させて調べた。関連する論文が同17日、米地球物理学連合の専門誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズに掲載された。冷たい極冠の謎を、科学者の熱い視線がいつ解くのだろう。
さすがにタコ型の火星人はいないにせよ、微生物のようなものはいるのか。つい9月にも生命の痕跡の新たな「有力証拠」が発表されたばかり。太陽系内では木星や土星の衛星にも熱い視線が注がれている。科学の地道な取り組みが続く。