イプシロンS、開発難航受け2段機体を従来型に 来年度打ち上げへ | Okensaku.com

イプシロンS、開発難航受け2段機体を従来型に 来年度打ち上げへ

Science Portal 15 時 前
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イプシロンS、開発難航受け2段機体を従来型に 来年度打ち上げへ

 開発が難航する小型ロケット「イプシロンS」の2段機体について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は計画を変更し、運用を終えた従来型イプシロンのものにいったん戻す方針を明らかにした。ロケット運用の空白期間を縮める狙いがあり、来年度の打ち上げを目指す。文部科学省宇宙開発利用部会に報告し、了承された。

従来型イプシロンの最終6号機=2022年10月(JAXA提供)従来型イプシロンの最終6号機=2022年10月(JAXA提供)

 イプシロンSは開発中だが、2023年7月と24年11月に2段機体の燃焼試験で爆発を起こし、2回目について原因究明が続いている。今月4日に開かれた同部会で、JAXAが状況を説明。究明や対策に時間がかかっており、政府の基幹ロケットとしての役割や、顧客の信頼確保が困難な状況との認識を示した。その上で、当面の衛星打ち上げ需要に対応するため、開発計画を見直すことを報告した。

 見直しにより、2段機体はイプシロンS用に開発してきた型式ではなく、従来型を復活させて採用することにした。ただし燃料の粒子を混ぜ合せて固める結合剤と、断熱剤の材料の一部が入手困難となっており、これらを代替品にする。このタイプの機体全体を「イプシロンSロケット・ブロック1(ワン)」と呼ぶとした。

 見直しにより、機体の全長は27.2メートルから26.8メートルに、2段の搭載燃料は18トンから15トンに減少する。ブロック1は本来のイプシロンSより能力が低下するため、搭載できる衛星の一部に制約が生じる。例えば、イプシロンS初号機で打ち上げる計画だったベトナムの地球観測衛星「ロータスサット1」は搭載できるが、最終目的の軌道に到達するために衛星の燃料を多く使うことになる。2028年度に打ち上げ予定の太陽観測衛星「ソーラーC」では能力が不足し、対応の検討が必要という。

イプシロンSの2段燃焼試験中に起きた爆発=2024年11月(JAXA提供)イプシロンSの2段燃焼試験中に起きた爆発=2024年11月(JAXA提供)

 種子島宇宙センター(鹿児島県)の燃焼試験設備は近く、2024年11月の爆発からの復旧工事を終える。同設備を使い、改めて2段機体の燃焼試験を実施し、来年度中のブロック1実証機打ち上げを目指す。実証機に衛星を搭載するかは未定という。

 同部会で井元隆行プロジェクトマネージャは「先の話をするのは難しい状況だが、まずは第1ステップとして(ブロック1の)の打ち上げを着実に成功させて実績を重ね、次の計画で能力をできるだけ回復させることも考えている」と説明し、理解を求めた。

 イプシロンは3段式の固体燃料ロケット。昨年退役した大型の液体燃料ロケット「H2A」や後継機「H3」などと共に、政府が基幹ロケットに位置づけている。科学や観測、技術実証目的の小型衛星を搭載する。従来型を2013~22年に6機、内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)で打ち上げ、1~5号機が成功。22年、従来型の最終6号機は失敗した。1段を大型ロケットの固体ロケットブースターと共通化し、機体点検や管制を合理化するなどしてコストを抑えている。改良型のイプシロンSは開発当初、23年に初打ち上げを計画していた。

H3、年度内に最小機体の燃焼再試験

 一方、H3も昨年12月に8号機の打ち上げに失敗しており、原因究明が続く。JAXAと三菱重工業は今月3日、H3の9号機について、予備期間としてきた年度内の打ち上げを見送ると発表した。

 H3は固体ロケットブースターを装備しない最小形態を、開発中の6号機で実現する計画だ。国産大型ロケットで初めてとなる。昨年7月に種子島で実施した6号機の燃焼試験では、1段機体の燃料タンク内の圧力が十分に上がらない問題が発生した。JAXAは、対策を講じた再試験を今年度中に行うことを、今月4日の文科省部会で明らかにした。

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