国際科学技術財団は21日、2026年の日本国際賞に、自然免疫における核酸認識メカニズムを見出した大阪大学先端モダリティ・ドラッグデリバリーシステム研究センターの審良静男特任教授(72)とテキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンターのジージャン・チェン教授(60)、倫理的なデジタル社会に構築に向けた研究を進めるハーバード大学コンピュータサイエンスのシンシア・ドワーク教授(67)を選んだと発表した。
日本国際賞に決まった左から審良氏、チェン氏、ドワーク氏(国際科学技術財団提供)
「生命科学」分野の受賞者となった審良氏とチェン氏は、ウイルスや細菌といった病原体の体内への侵入をいち早く感知し、防御反応を開始する重要な役割を担う自然免疫において、病原体由来の核酸(DNAやRNA)を感知するタンパク質を発見し、情報が細胞内でどう伝わり免疫反応が引き起こされるのかといった仕組みを明らかにしていったという。
自然免疫に関しては2011年にノーベル生理学・医学賞を欧米の免疫学者が受賞しているが、「核酸の免疫メカニズムという点において、一番重要といえる免疫系活性化のフレームワークを形作ることができたといえる」と審査委員が評価したという。免疫に関しては、2025年ノーベル生理学・医学賞を同じ大阪大学に所属する坂口志文特任教授も受賞しており、審査委員の一人は「ここ20年から30年ほど、審良氏と坂口氏は世界で最も活躍した免疫学者と言えるだろう」とした。
「エレクトロニクス、情報、通信」分野の受賞者となったドワーク氏は、社会のデジタル化の急速な進展を前にした1992年、将来の電子メールの氾濫を予見し、防止策として計算コスト負担を提案した。このアイデアが「プルーフオブワーク(PoW)」として現在普及している。
2006年には、ある一人の情報が入った集団と入っていない集団から得た統計処理結果の差分を取り出せなければその人の情報は漏れないという発想を元にした「差分プライバシー」という概念を提唱。ビッグデータ解析などデータ利用の背後にある個人情報漏洩の危険度を数学的に検討できるようになった。現在ドワーク氏は、人工知能(AI)が差別を引き起こさない方策の研究を進めているという。
審査委員の一人は「デジタル時代の倫理的な問題に対して、コンピューターサイエンス(計算機科学)の知見を生かし、科学的に取り組んだ研究者。取り組むテーマそれぞれが独創的であり先見性がある」と評価した。
国際科学技術財団によると授賞式は4月14日に東京都内で行う。