国際卓越研究大学、2校目に東京科学大 京大も候補、東大は継続審査 | Okensaku.com

国際卓越研究大学、2校目に東京科学大 京大も候補、東大は継続審査

Science Portal 5 時 前
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国際卓越研究大学、2校目に東京科学大 京大も候補、東大は継続審査

 文部科学省は、世界トップレベルの研究水準を目指す「国際卓越研究大学」の第2期の公募で、東京科学大学が選定されたと発表した。10兆円規模のファンド(基金)の運用益により支援する制度で、有識者会議が審査結果をまとめた。正式認定を経て支援を開始する。このほか京都大学を候補とし、最長1年かけて体制強化計画を改善して認定するとした。東京大学を継続審査とした。

東京科学大学=東京都千代田区

 初回公募で昨年11月に東北大学を認定したのに続き、第2期の公募を今年5月まで行った。初回に認定されなかった大学のうち、東京理科大を除く8校が再挑戦した。海外を含む識者や企業人11人からなるアドバイザリーボードが審査を進め、今月19日に文科省が結果を公表した。

 審査結果は、東京科学大の体制強化計画案に対し「研究分野・組織の壁を越える抜本的改革を目指し、執行部のリーダーシップの下、全学的に検討された計画」と評価。東京工業大と東京医科歯科大が昨年10月に統合して同大となった経緯から「統合を背景に医工連携の強力な推進を掲げた計画で、日本の新しい大学のモデルとなることが期待される。特に、臨床系教員の研究時間確保策は野心的」などとし、来年4月の計画開始が適当と判断した。初年度には百数十億円を助成する。

 京都大は「研究成果を社会展開につなげる仕組みや、世界レベルのスタートアップ企業創出につなげる意欲的な計画。新たな研究組織体制『デパートメント制』も、多様な視点での研究評価軸を設計し評価できる」などとする一方、「全学計画の策定や、全学のデパートメント制移行は途上」と指摘した。候補として最長1年間、計画を磨き上げた上で認定手続きに移るべきだとした。対応が不十分な場合、助成を減額する可能性があるという。

 東京大に対しては「極めて挑戦的な改革構想を掲げている」とする一方、「学内組織評価や資源配分の基準について、学内合意を経た上で実効性の確認が必要」「コンプライアンス(法令順守)上の問題の対応は、卓越大に求められる自律と責任あるガバナンス(統治)の構成要素として重要」などの意見をまとめた。最長1年間かけ審査を続けるとした。審査中にガバナンスに関わる新たな不祥事が生じれば、審査を打ち切るという。

 申請した大阪大、早稲田大、九州大、筑波大、名古屋大の5校は認定に至らなかったが「いずれも、初回公募時点から計画の水準が大きく向上した」と評価した。

 松本洋平文部科学相は19日の閣議後会見で「卓越大への支援を通じ、世界最高水準の研究大学の形成を着実に進めるとともに、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学の研究力向上のための支援などを通じ、わが国全体の研究力の強化を図っていく」と述べた。

 海外トップレベルの大学が近年、豊富な資金を背景に研究力を高めているのに対し、国内では論文の質や量などの低下が指摘されている。こうした中、政府は大学に世界トップクラスの研究者の獲得、若手研究者の育成、研究者の研究時間確保のための負担軽減などが求められるとし、卓越大制度を創設した。ファンドは科学技術振興機構(JST)が2022年3月に運用を開始した。支援期間は最長25年。初回に認定した東北大への助成額は今年度が約154億円、来年度が169億円。第3期の公募を行うかは未定という。

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