政府、日本企業の除外要請=米鉄鋼関税、ディール材料も

Business Journal 3 週 前
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政府、日本企業の除外要請=米鉄鋼関税、ディール材料もの画像1日本の対米鉄鋼・アルミニウム輸出

 政府は12日、トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに25%の輸入関税を3月に発動させると決めたことを受け、日本企業を適用対象から除外するよう米政府に要請した。現在、鉄鋼の対米輸出は一定量まで免税となっている。こうした例外措置廃止や現行10%のアルミニウム関税の上昇は日本企業に悪影響が及ぶと分析。関税発動をにらみ、日米の「ディール(取引)」に浮上しそうだ。

 石破茂首相は12日の参院本会議で、「措置の内容やわが国への影響を十分に精査しつつ、グローバルにサプライチェーン(供給網)を構築している日本企業に与える影響を踏まえ、適切に対応していく」と強調した。

 日本の2024年の対米輸出額に占める鉄鋼・アルミの割合はそれぞれ1.4%、0.1%にとどまっており、鉄鋼大手からは「大きく反応する必要がある状況ではない」(関係者)と冷静な受け止めも聞かれる。ただ、日本貿易保険が12日、関税発動で損害を受ける日本企業を保険金の支払い対象とすることを決めるなど備えも進める。 

 一方、欧州連合(EU)などは対抗措置を辞さない構えで、関税措置の応酬による「貿易戦争」が懸念される。日本貿易会の安永竜夫会長(三井物産会長)は12日の記者会見で「それぞれの国の産業力に影響を及ぼし、ビジネスの世界にも影響を及ぼしてくることを危惧している」と訴えた。

 トランプ氏は第1次政権時、鉄鋼25%、アルミ10%の関税措置を発動。カナダやメキシコなどが対象外となった。日本は除外を求めたが認められず、バイデン政権時の22年に、鉄鋼は年125万トンまで免税することなどで合意した。

 トランプ氏は今回、さまざまな例外措置が関税の効果を減じていると問題視。一方で、対米貿易赤字国のオーストラリアについては例外措置を検討する考えを示している。日本政府は米政権の出方を注視しながら譲歩を引き出したい考えだ。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/02/12-17:55)

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