
「目を押さえると気持ちがいい」と言う人がいますが、脳がそう感じているだけで、何か根拠があるわけではありません(写真:shimi/PIXTA)
ドラッグストアに足を運べば、目薬がずらりと並ぶ光景を目にすることができる。そればかりか、目によいとされるサプリメントも数多い。私たち日本人にとってそれは、いたって日常的な光景であるといえるだろう。目が疲れたら目薬をさしたくなるものでもあるので、とても便利だと思える。
ところが『近視は病気です』(窪田良著、東洋経済新報社)によれば、現実はそれほど楽観視できないようだ。目薬がすぐ手に入る一方、目が悪くなっていることに気づかないケースもあるというのだ。それどころか、早く発見すればなんとかなったのに、手遅れになってしまい、失明してしまう人も少なくないというのだから恐ろしい話である。
目に関するリテラシーを高める
人生半ばで視力を失う中途失明者や、不可逆的な視力低下をきたす人は、意外に少なくありません。それが自分には起こらないという保証はどこにもありません。それなのに、失明をもたらす病気の名前はあまり知られていません。

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中には、エビデンス(根拠)も何もない、怪しげな情報も流れています。簡単に視力が回復するメソッド。老眼を防ぐことができる方法。「スマートフォンの見すぎで失明する」と脅すような論調もあります。そうした正しくない情報に振り回されないよう、目に関するリテラシー(正しく理解する力)を高めることも求められています。(「はじめに」より)
著者は慶応義塾大学医学部卒業後、眼科領域で臨床に携わりながら研究を行う研究者である“Physician scientist”の道に進んだという経歴の持ち主。網膜の研究をしていた1995年に、緑内障を引き起こす原因遺伝子のひとつである「ミオシリン」を発見したという。