
自らのことを「物売りの人」と呼ぶユウタさん。コロナ禍に続きインボイス制度と、個人事業主にとっては“試練”が続く中、「早々にイベンター業から撤退した知人もいます」と打ち明ける(編集部撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「コロナ禍のダメージが数年続いていて困っています」と編集部にメールをくれた44歳男性だ。
「平等」と「公正」は違う
個人で輸入雑貨や古着の販売を手掛けるユウタさん(仮名、44歳)は、消費税のインボイス(適格請求書)制度のことを「害悪でしかない」と言い切る。一方で世間の一部からは、同制度に反対する事業者たちに対し「これまで消費税を“着服”してきただけ」「税金は平等に払うべき」といった批判の声も上がった。
しかし、ユウタさんは「『平等』と『公正』は違います」と断言する。そして、ネット上で話題となっているあるイラストについて教えてくれた。
イラストでは、身長の違う3人がフェンス越しに野球を観戦しようとしている。絵柄は2種類。一方は全員が同じ高さの木箱に乗っていて、一番背の低い人は高さが足りず試合を見ることができない。もう一方は最も低身長の人には木箱が2つ、次に低い人には木箱が1つ、最も高身長の人には木箱はないが、結果的に全員が試合を見ることができている。前者は「EQUALITY(平等)」、後者は「EQUITY(公正)」を表すという。

IISCがホームページで公開しているイラスト。「Equity(公正)」だと全員が試合を見ることができるが、「Equality(平等)」ではときに試合を見られない人がいる(出典:Interaction Institute for Social Change | Artist: Angus Maguire.)