イオンシネマが意図的にスクリーンを暗く?運営元が否定…映画館でバラツキ

Business Journal 2 週 前
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イオンシネマ公式サイトよりイオンシネマ公式サイトより

 国内最大級のシネコン(シネマコンプレックス)のイオンシネマをめぐり、ある映画監督がSNS上で、他の映画館と比較してスクリーンが暗いと批判。この意見に「以前からそう感じていた」「どこかに言いたいと思っていた」などと賛同する声が相次ぐ一方、イオンシネマというよりは個々の映画館の設備や映写機の状態などによるのではないかといった見方も出るなど、議論を呼んでいる。イオンシネマを運営するイオンエンターテイメントはBusiness Journalの取材に対し「機器の点検・保守・管理は専門業者に行っていただいており、照度を落としているという事実はありません」と説明する。また、映写機の寿命を延ばすために照度を意図的に下げているのではないかという指摘についても、「そのような事実はありません」と否定した。では、なぜこうした声が出るのか。映画業界関係者の見解を交えて追ってみたい。

 イオングループのエンターテインメント事業であり、全国に96の劇場、821のスクリーンを擁するシネコン、イオンシネマ。2位のTOHOシネマズ(75サイト)、「ユナイテッドシネマ」などを運営するローソン・ユナイテッドシネマ(44劇場)、「MOVIX」などを運営する松竹マルチプレックスシアターズ(25劇場)、「109シネマズ」などを運営する東急レクリエーション(21劇場)を劇場数ベースで大きく上回る圧倒的な国内最大手といえる。

 一つの劇場内にIMAXレーザー、3D、4DX、ハイ・フレーム・レート(HFR)など最先端の設備を導入した多岐にわたるスクリーンを擁し、各シアター内にはリクライニング+オットマン付きのハイグレードシート、プレミアシートなどを用意。紫外線照射、光触媒、高集塵フィルターの3つのシールドで劇場内の空気をクリーンに保つ独自の空気浄化システム「トレイン・トリプルエアシールド」を導入している点も特徴だ。なかでもIMAXレーザーは革新的な4Kレーザープロジェクターと12chサウンド・システムを採用しており、高い評価を得ている。このほか、「感覚を刺激する映画体験」を謳い、以下のように劇場設備の充実には力を入れている。

・ULTIRA(ウルティラ)
 天井まで迫り左右いっぱいに広がる特別仕様の専用スクリーンと、高音域・中音域・低音域を絶妙にコントロールした立体音響

・THX
 ルーカスフィルムの1部門としてスタートした、映画の音響の評価を提供する会社・THX社の認定を受けた劇場を複数保有

・Dolby Atmos(ドルビーアトモス)
 映画館内で音を移動させることにより、映画のシーンに合わせてダイナミックな動きの効果を創出

悪い評判が広がり客数が落ちるリスクのほうが大きい

 そんなイオンシネマのスクリーンをめぐって、前述のような議論が沸いている。暗いという声もある一方、「そう感じたことはない」と否定的な声もあがっている。大手映画製作会社関係者はいう。

「イオンシネマのスクリーンは暗いという話は、聞いたことがありませんし、私自身もそう感じたことはありません。ただ、イオンシネマかどうかは無関係に、劇場によって『なんか暗いかな』『ここはくっきり見える』という差はたまに感じることはあるので、要は映画館の設備や映写機、スクリーンの状態によって多少のバラツキが生じるということではないでしょうか。映写機の寿命を延ばすために照度を暗くするという説については、そんなことをして悪い評判が広がり客数が落ちるリスクのほうがはるかに大きいでしょうし、自前で劇場内の空気浄化システムまで開発・導入しているイオンシネマが、そんなケチくさいことをやるとは考えにくいです。映写機には明確な耐用年数があるので、照度を下げてることで寿命が延びるのかもよく分かりません」

(文=Business Journal編集部)

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