2050年、カーボンニュートラルは幻想か現実か ―― 高校生が投げた鋭い問い

ビジネスジャーナル 2 週 前
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ある日、Green Carbon株式会社(以下、GC)に届いた1通のメール。

内容は「『カーボンプライシングによる脱炭素』という気候変動対策の中核的政策について、経済効果と環境インパクトの両面から実証的な研究に取り組んでいるので、話を聞きたい」というものでした。

大人でも専門知識がないと難しいほどの質問。その差出人は、なんと高校1年生だったのです。

今の環境に対する取り組みが、ダイレクトに影響する高校生世代は今、何を考え、取り組もうとしているのか。GCと高校生らのインタビュー現場に潜入取材しました。

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高校生の口から飛び出した、大人顔負けの専門的な問い

取材当日、最初に口を開いたのは高校生たち。

―― GCのAWD(間断灌漑、水田の水管理方法)技術やバイオ炭による温暖化ガス削減の測定にあたって、国際基準モデルだけでなく現場でのデータ活用が重要だと思います。貴社はモデルとデータの誤差をどう修正して、どのようにクレジットを発行していますか。

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国際基準と実地データの整合性に踏み込む鋭い質問に、GC海外事業部 マネージャー横山治生氏は驚きながらも、丁寧に答えます。

横山「AWDではチャンバー(温室効果ガスを測定する装置)を水田に配置し、ガスを直接採集して成分を分析します。カーボンクレジット認証機関が承認する方法論に従い、現地の大学や農家さんの協力を得て公平に評価しています。

バイオ炭は、これまで放置されるか焼却されていた農業残渣(もみがらなど)を無酸素で熱分解して作ります。二酸化炭素を大気に出さず、炭素を炭に固定する技術です。その炭素固定量については大学に依頼し、成分分析と評価を受けています。第三者の研究機関が関与することで、恣意的な操作はできません」

背景にある高校生たちの探究心

なぜ高校1年生がこれほど高度な問いを投げかけられるのか。

彼らは神奈川県相模中等教育学校に在籍する4年生(高校1年に相当)。探究学習で「脱炭素」をテーマに研究し、日本経済新聞社主催の金融・経済学習コンテスト「日経STOCKリーグ」に参加しているそうだ。

高校生たちは、学校での環境に対する学びや問題意識についてこう語ります。

「環境についての調べ学習の機会が多く、問題意識は持っています。ただ、日常で、環境に優しい商品を選ぶかどうかなど、環境意識を生活に反映させるか否かは人それぞれだと思います」

「学校で環境の話題を提示される機会はありますが、社会が本当に危機感を持って早急に対応をしているかといえば、実感できない部分があります」

「委員会を通じて節電を意識することがあります。また運動部では、外での活動の際に地球温暖化の話題が出ることもあり、ニュースなどを見てそれを実感しています」

環境以外にも、興味の幅は広い。

「AIなどのテクノロジーの進歩に興味があります」

「私は量子コンピューターにすごく興味を持っていて、学校では疑問が解決できず、自分で大学の先生に聞きに行ったこともあります」

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社会の動きと好奇心、そして問題意識を携え、彼らはカーボンクレジットの現場で起きている生の話を聞きたいとGCを訪れていました。

次々と繰り出される専門的な質問

高校生たちは、さらに踏み込んだ質問を続けます。

――植物のゲノム情報の研究開発で、炭素の固定能力を高めるアプローチもあると思いますが、いかがですか。

研究の最前線に踏み込む問いに、広報室 室長である井家良輔氏が応じます。

井家「社外秘の部分もありますが、植物のゲノム編集については長期的視野での研究を進めています。

一方で、当社で今一番進んでいるのが微生物の研究です。メタンガスを抑制する新種の微生物をスクリーニングし、それを稲に付与することでCO2の削減量を増やし、より多くのカーボンクレジットを作ることを目指しています。なぜ水田でCO2が出るのかと言えば、稲そのものではなく、水田の生成菌と呼ばれる菌によるもの。当社の研究はこれを抑制する事に焦点を当て、研究開発の分野からも差別化を図ろうと考えてます」

――バイオ炭に関して、炭素の固定効果は数百年ほど続くと言われていますが、土壌のPHや微生物の分解速度、降水パターンによって変わると思います。貴社はそうした環境変数をどうモデルに組み込み、クレジットの信頼性を確保していますか。

横山「観点は2つあります。Jクレジットではバイオ炭の方法が認められていますが、排出量の算定は排出係数のように定められており、数値はあらかじめ決まっています。

例えば間伐材を使う場合、伐採で出た枝を炭にして農地にまくと窒素量が減り、その差分がクレジットとして認められます。つまり『何をどれだけ燃やし、どのくらい撒けばどのくらい削減できるか』は制度上の前提として定められているのです。当社は基本的に第三者機関に委託して公平な評価を得るようにしています。

他社では、バイオ炭に微生物を入れて、高機能バイオ炭のような形にして使うところもあります。今後は既存のJクレジット技術を最大化する方法も出てくるかもしれません」

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高校生が問う、Green Carbonの展望

――貴社が事業として取り組むプロジェクトはどのような視点で決めていますか。

横山「GCの大前提のビジョンは『生命の力で地球を救う』です。機械を作ってCO2をどんどん吸収する、というようなことではなく、自然由来のものを活用して脱炭素を進めていきます。

ビジネスとしては収益性も大事です。水田のプロジェクトは、大規模な初期投資を必要とせず、農家さんに水の管理方法を指導することで進められるため、事業としてはやりやすいです。

一方でバイオ炭のプロジェクトは初期投資がかかりますが、バイオ炭とバイオオイルを有機肥料や土壌改良材として販売でき、回収も早い。クレジット量は少ないけど収益性は高いのです。さらに農家のコスト削減やN2O削減、米の品質向上にもつながる。農業全体の振興にどう貢献できるかというのも重要な視点です」

―― GCの一番の強みは何ですか。

井家「勿論、海外展開スピードやカーボンクレジットの創出規模日本No.1の強みはありますが、“立体性”だと思います。ネイチャーベースのカーボンクレジット全般を扱える技術と実績、植物や微生物の研究開発、国内外33大学や研究機関との連携、衛星データとの連携、クレジット創出のDX化など、さまざまな要素を組み合わせて事業を立体的に運営しています。それこそがGCの唯一無二であり、強さですね。

目指している世界観は楽天さんに似ているかもしれません。楽天さんが、通信や電気、ECなどで楽天経済圏を作っているように、私たちもカーボンクレジットを中心に、“GC経済圏”を構築したいと考えています。今後は取引所、金融、人材派遣、コンサルティングなど、さまざまな領域に派生していきます」

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2050年、カーボンニュートラルは実現できるのか

GCからの質問も続く。

――数ある企業の中から、なぜGCに注目してくれたのでしょうか。

高校生「生成AIを使って関連する企業を調べる中で、自分たちのテーマに最もマッチしていると感じたのがGCでした。先ほども“立体性”とお話されていましたが、さまざまなプロジェクトを手がけているので、何でも質問にお答えいただけるだろうと思いました。『生命の力で地球を救う』というスローガンにも惹かれました」

さらに、高校生とGCの会話は、今から25年後の未来にまで及んでいく。

―― 日本は2050年までにカーボンニュートラルを実現していくと表明していますが、実現に向けて順調に進んでいるという話はあまり聞きません。実現には、今後どのようなことが必要なのでしょうか?

難しい問いに、横山氏が少し考えながら慎重に答えます。

横山「難しいですね。GCとしての目線でいえば、GXを加速させ、カーボンクレジットの需要を高めていく。それによってカーボンニュートラルに近づけていくというのが、ビジネス上では理想的ではあります」

井家氏も続く。

井家「一方で、政府や国、そして環境に対する世界的な動きは不可欠です。『脱炭素への取り組みはやらなければいけない』という世界観に変わりつつある今、それをさらに加速させる必要はあると思います」

横山「あとは消費者の意識を高めていくことですね。環境配慮型の商品を選ぶ動きが広がれば、企業は必ず対応せざるを得なくなる。就職活動でも『環境に配慮している企業を選ぶ』流れができれば、大きなムーブメントが生まれます。

中高生の皆さんの世代にかかっているところも大きいですよね。2050年にカーボンニュートラルを達成できなければ、気候変動はさらに加速すると言われています。その未来を生き抜くのは、まさに僕らも含めたみなさんの世代です。だからこそ環境に配慮していくという価値観を持つことが重要です。

そして今回のように、高校生がカーボンクレジットを真剣に調査し、発表すること自体が社会を動かす大きな意義を持つと思います」

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2050年を見据えて、カーボンニュートラルへの挑戦はすでに始まっています。Green Carbonのように、科学とビジネスの力で脱炭素を進める企業が現れているのは、その証。

未来世代の真剣な声と、スタートアップの挑戦。両者の努力に、私たち大人社会と消費者がどう応えるのか――。

未来は、まさに私たちの「これから」にかかっています。


取材時の様子

※本稿はPR記事です。

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